橈骨遠位端骨折について~病態やレントゲン所見と合併症、術後リハビリのポイント、実技~
<テーマ>橈骨遠位端骨折について~病態やレントゲン所見と合併症、術後リハビリのポイント、実技~
<項目>
1)開催日:10月2日、10月15日
2)所要時間:一回目:50分 二回目:50分
3)勉強会内容・検討事項
①橈骨遠位端骨折の病態について
高齢者に多い上肢骨折で、特に骨粗鬆症の女性に多く、転位の仕方によってコーレス骨折やスミス骨折、バートン骨折に分けられます。その他にも、これらを複合した骨折もあります。
②レントゲン所見について
レントゲンのチェック部位として、橈骨の短縮・DRUJ不安定性・茎状突起の骨折など確認しておくと今後のリハビリにつながります。
③合併症
長母指伸筋腱断裂や正中神経麻痺・舟状骨月状骨間離開・CRPSなどの合併症があり、細かく評価していく必要があります。
④術後リハビリのポイント
まずは評価ですが、受傷起点や疼痛・関節可動域・腫脹、感覚異常の有無、認知機能や日常生活動作など様々な評価を行います。その後、まず浮腫、熱感の管理(アイシング、ポジショニング指導)を行い、禁忌動作指導、自主訓練指導なども行っていきます。ポジショニング指導では、手を心臓よりも高くすることで浮腫やCRPSの予防につながります。自主訓練では、手関節を軽度背屈することで手指の運動が行いやすくなり、また腱の近位滑走や遠位滑走を促すことが大事で、しっかり最終域まで動いているか確認しながら行っていくことが必要となります。
⑤実技
実技では、術後の患者様を想定し、④の術後のリハビリポイントを踏まえた実技練習を行いました。
<感想・まとめ>
今回の勉強会では、橈骨遠位端骨折の疾患の特徴からレントゲン所見の重要性、合併症への注意点、術後リハビリの進め方まで一連の流れを総合的に学ぶことができました。
レントゲン所見が、リハビリの進行や長期予後に関わることや長母指伸筋腱断裂・CRPS・神経障害などの合併症を早期に見抜くことの重要性を再学習できました。また、リハビリでは、浮腫管理・ポジショニング・禁忌動作指導・自主訓練指導など初期からの細かな介入が機能回復に欠かせないということを再学習しました。関節可動域訓練では、手関節のポジションや近位滑走や遠位滑走といったリハビリのポイントが整理され、また日常生活での観察もしっかり行う必要性を感じました。
今回の勉強会を通して、リハビリスタッフが同じ視点を持ち、今後も患者様の早期機能回復に向けて、多職種連携しながら治療と支援にあたっていきたいと思います。